Hackday2019出展報告
2019年12月15日に開催された、Yahoo様主催のHackday 2019に出展してきましたので、そのご報告です。
場所
今回の開催場所は、なんと秋葉原UDX!
Hackday2019では、審査員として久保田雅人さん(わくわくさん)や司会で声優の山下まみさんが出演なさっていたようです。我々は展示の設置と説明員をしていたため、見ることはできませんでしたが、中から声は聞こえてきました。
展示全景
私たちの展示の設営場所は、UDXの入り口の真ん前でした。屋外にテントを張って、その中でクレーンを展示します。天井の高さ制限のせいでクレーンの動作が制限されてしまうため、最初はテント外に出した方がよいと考えたのですが、風が強くクレーンが倒れる恐れがあったためテント内に設置しました。
今回はクレーン模型の展示内容はMakerFaire2019とほぼ同等なのですが、ゲーム性を工夫しました。今回のクレーンゲームの目的は、時期にちなんで「クリスマスツリーの飾りつけ」です。飾りが乗っている台からグラップルで飾りをつかんで、クリスマスツリーまで持っていきツリーの上に乗せて飾り付けをしてゆきます。これまでの展示で一番まともなゲームになりました。
設置・準備
お客さんの反応
まとめ
今回も非常に多くの方に展示を見ていただけました。このような機会を提供していただけたYahoo様、ならびにお越しいただいた方々に感謝申し上げます。
HackDay2019に出展します
Yahoo様主催の「HackDay2019」に出展することになりました。開催日時は、12月15日(日)12:00-18:15 @秋葉原UDXです。入場無料だそうです。
当日はMaker Faire 2019とほぼ同等の内容を展示する予定です。Maker Faireに負けない楽しい展示がいっぱいですので皆さん是非お越しください!!
テレビ取材を受けた番組の放送予定
2019年9月21日(木) 日本時間(JST)
時間:04:30-04:58
クレーン模型制御ソフトCraneMonitorの使い方
はじめに
Maker Faireへのクレーン模型の展示向けに作成してきた制御ソフト「CraneMonitor」の使い方説明書です。
なぜ、このブログで制御ソフトのマニュアルを公開するのかというと、それは私自身が忘れないためと、いざというときに会場で参照するためです。
マニュアルをちゃんと書いておいても、置いてある場所が分かっていないといけませんが、例えばパスワードがかかった場所に置いてあったりすると、結局読めなかったりしますので、誰もが分かる場所になければなりません。
また、現状このソフトは、私(=inrabbit)しか操作できないため、私がいないとセットアップできない状況なのですが、それを今後なるべく属人化を回避した状態に持っていきたいためです。もし我々が使い方で悩んでいたら、これを読んでもらったお客さんに教えてもらえる、みたいなのが理想的な形かなと思います。(笑)
GitHubリポジトリ
CraneMonitorのソースコードと実行バイナリは以下にあります。Visual Studioの.Net FrameworkのWPFを使って書かれています。言語はC#です。
システム構成
自作したデバイスとPCとの通信にはUSBシリアルが用いられています。それに加えてUSBカメラ2台が接続されています。
ノートPCの設定
展示中、ノートPCには外部ディスプレイを接続して使っており、PC本体は触っていないため、ノートPCの画面を閉じても電源が切れないようにしておく必要があります。
画面構成
起動時の画面です。セキセイインコの写真は設計時に表示する画像がないから適当に入れたもので、USBカメラからの動画が表示されれば消えます。
デバイスとPCの接続
設定ファイルは、CraneMonitor.exeと同一フォルダまたは、1つフォルダ階層が上の場所中にSetting.xmlという名称であるものとする。
起動時に自動読み込みされ、存在しなければデフォルト値となる。
Joystickとはゲーム用の普通のジョイスティックのことであり、Controllerとはオリジナルの操作卓のことである。JoystickとControllerは同時に接続しないこと。
モーター設定
6つ接続できるモータードライバのチャネルに、ジョイスティックや操作卓などの指令値をどのように割り当てるかを指定します。設定は、回転の向きと、直接PWM指令値を指定する動作モードか、速度を指定するフィードバック制御にするのかです。フィードバック制御をする場合、モーターの回転軸に位置検出用のエンコーダが取り付けられていなくてはならないです。ポテンショメーターを取り付けると、可動範囲を自動制限するリミッタ機能として利用できるようになっています。(リミッタ機能はこれまで使われたことがないので動作しないかもしれない。)
また、選択した3チャネルの動作状況をグラフィカルなメーター表示にすることができます。
操作卓とジョイスティックの指令値番号
モーター設定におけるジョイスティックの指令値は以下の表に従います。この値を選んでxmlファイルに書き込みます。本来なら、設定ファイル読み込みではなくて変更可能なUIにすべきなんでしょうが、展示用にはこれで機能的に十分なのでやめました。
表示切替
展示の運用の際に不要な設定ボタンや、使っていない不要な機能を隠せるようになりました。
ランキング機能
グラップル方位角表示機能
グラップルへの指令は操作卓側からの赤外線経由なので、CraneMonitorは関与しない。しかし操作卓への設定値は全てPC側に送られるようになっているため、画面上に操作卓のエンコーダの設定値を表示だけはしている。
リアクションホイール付きグラップル(Maker Faire 2019)
Maker Faire 2019の展示向けに作成したリアクションホイール付きグラップルの詳細を紹介します。展示の様子は以下の記事をご覧ください。
実際に動いている動画は以下です。
構造の説明
回路図や回路基板の詳細は以下をご覧ください。
横から見た写真です。筐体は3Dプリンタで作られています。リアクションホイールは金属でできています。
新グラップルの設計の元となった旧グラップルの構造です。 赤外線通信機能やマイコンは同じものを使っています。旧型のグラップルでは、リアクションホイール用のモーターやモータードライバは、メカ設計に詳しくないメンバーが適当に作ったため、無意味に高出力なものが使われていましたが、新型では適切に再設計されました。
旧型グラップルの説明記事は以下です。
新旧グラップルの比較写真です。
今後は、新型で間に合わなかった、ジャイロによるリアクションホイールの自動制御の実装や、揺れ抑制機能などを追加してゆく予定です。
Maker Faire 2019 出展報告(その2)
全景(2日目)
2日目のクレーン模型の全景です。2日目はアーム先端をさらに伸ばして高くしました。Maker Fairに我々が過去出展したクレーン模型の中では、最も高いものになりました。
高くなったアームには、航空障害灯のLEDが点滅していますので、遠くからでもよく見えます。(ざっくりと周りを見た限りでは)個人展示の中では(おそらく)最も高い構造物になりました。
準備(2日目)
2日目の準備の様子を紹介します。
本体のアップ写真です。ワイヤー巻きつけのローラー部分に注目ください。モーターがどこに入っているか分るでしょうか?
実は、ローラーの内部に組み込まれているのです。詳細な構造が知りたい方は、会場にて模型作成者に聞いてみてください。
いよいよアーム立ち上げの瞬間です。倒れてしまうかもしれないため、緊張しつつ見守ります。同一の構成で過去に組み上げたことはありません。アームが長すぎて机2つ分に収まりきらず、一時的に隣の展示ブースの方の机をお借りして組み立てました。
クレーンゲームの様子
クレーンゲームは、2日間にわたり大変多くの方に体験していただきました。今回はグラップルの回転を含む4つのモーターを2本のジョイスティックで制御するため、操作は難しく、お子さん方には少々難しいかなという印象を受けました。将来的には、グラップルの姿勢制御はジャイロで自動化されるため、難しい操作は改善されてゆくだろうと考えています。
以下は展示の際のディスプレーのキャプチャです。運転席からのカメラとアーム頂上から見下ろすカメラによる2つの動画が表示されています。アーム頂上のカメラからは、完全に人を真上から見下ろしています。
ソフトウェアは去年のもののを微修正しました。(そのうちGitHubでマニュアルを含めて公開予定です。)ランキング機能は、今回は全く使われませんでした。毎回同じようにぬいぐるみやオブジェクトを配置しなおしたり、ルールを説明したりするのは、説明員側としても結構手間がかかるためです。
テレビ局の取材
今回の展示で起こったイベントの1つに、テレビ局の取材が入ったというのがあります。レポーターの方が入って長時間撮影されていきましたが、カットされるかもしれないので具体的な番組名は伏せておきます。
まとめ
今回は、去年までに未完成だった、我々の展示において過去最大のブームブースターのクレーン模型を展示することができ、新設計のグラップルと併せて、クレーン模型とゲーム操作性の両面から、過去最も完成度が高い展示をすることができました。
また、多くの方々に展示を見に来ていただけました。去年の展示を覚えてもらっており、励ましの言葉をいただくこともありました。これを励みに来年もより良い展示を目指して頑張っていきたいと思います。
Maker Faire 2019 出展報告(その1)
2019年8月3日~4日に開催されたMaker Faire Tokyo 2019に出展してきましたので、そのご報告です。
全景
例年通り、クレーン模型を中心にした体験型の展示です。クレーン模型自体も新しい型に更新されたほか、吊るしてものを掴むためのグラップルを新造し、クレーンゲームとしての完成度を高めました。
準備(1日目)
今回はクレーンの一部とグラップルの新造という大きな作業がありましたが、徹夜したのは1名だけで、なんとか無事完成させることができました。
ブームブースターというのは、クレーンのアーム部分が膨れている(太くなっている)機体のことを意味するのだそうです。実はブームブースターは去年に展示する予定だったのですが、去年には間に合わず今年の展示となってしまいました。
クレーン全景(1日目)
これら全て手作りです。ブームブースターが立ち上がった時は感動ものです!
新作グラップル
今回の展示の目玉の一つが、新作のグラップルです。詳細な説明は別の記事で行いますが、大まかには、電磁石による吸着からアームによる把持に変えました。去年のものは、赤外線で通信してリアクションホイールで回転姿勢制御していましたが、それらの機能はそのまま(再設計して)引き継がれました。
去年はモーターに電流を流すとノイズで通信できなくなり、制御が大変難しい不具合がありましたが、今年の新作ではそれらの問題は解消されて自由に操作できるようになりました。
ただ残念なことに、今年もジャイロによる自動の姿勢制御は間に合いませんでしたので、ジャイロ制御は来年の課題に持ち越されることになりました。(ハードウェアが完成したのが展示の数日前だったため、ジャイロ制御プログラムが間に合いませんでした。)
グラップルが掴む対象のイノシシのぬいぐるみは、実は最初から計画して用意されていたものではなく、メンバーの一人が職場で買ってきたものです。
本来はグラップルの回転姿勢制御機能を有効に活用するためには、細長いものの方が望ましいのです。そのために、当初の予定では、発泡スチロールブロックを買ってきて、それを「令和」の字に沿って並べるという「令和ゲーム」を計画していました。しかしながら、クレーンゲームにはぬいぐるみがふさわしいという理由と、ぬいぐるみがかわいいという理由と、回転制御まで入れると多くのお子さんには操作が難しすぎるという理由で、このぬいぐるみを掴むゲームに変更になってしまいました。
動作している動画を以下にアップします。
トラブル発生
MakerFaireに出展して初めてトラブルが発生してしまい、1日目の展示を数時間中断することになってしまいました。
事の発端は、糸が切れてしまったことです。巻き込み過ぎて糸が切れてしまい、糸を張りなおすことになってしまいました。それがよりによって一番大変な、糸が何重巻きにもなっている部分だったので、巻きなおすのにかなり時間がかかってしまいました。
糸が修理されたと思った次の瞬間、新たなトラブルが発生してしまい、旋回ができなくなってしまいました。よりによってクレーンの台座部分の一番アクセスしにくい部分です。
アームを下ろしてネジを外し、本体部分をひっくり返して見てみると、なんと原因は旋回部分のモーターのギアのネジが単に緩んでしまったというものでした。数年前に組み上げてから触っていなかった部分が偶然今のタイミングで問題を起こしてしまいました。
1日目は多くの方に来ていただきました。2日目の記事に続きます!