Maker Faire 2017 出展報告

 2017年8月5,6日に東京ビッグサイトで開かれた、Maker Faire 2017での展示の様子を報告いたします。

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展示物の紹介 

 今回の展示の全景はこちらです。タイトルは、「クレーン運転士免許を取ろう!~これが本当のクレーンゲーム~」となっており、精密な模型のクレーンを操縦して、クレーン運転免許を模擬したゲームを体験してもらうというものです。

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 そのために準備したのは、上の写真にあります模擬コースです。単に光る棒が立っているだけに見えますが、その裏を見ると・・・

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 このように配線がびっしりです。実は、プラスチックの棒の1本1本が接触センサーとなっていまして、クレーン模型で運ぶ荷物が揺れて棒に振れてしまうと、照明が消え、隣のパソコンにヒットカウントが伝送される仕組みになっています。これを実現するために、1本1本にフィリップフロップ回路が取り付けられており、出力がGPIOに繋がっています。

 実はこの仕組み、会場にて開場直前に結合試験となってしまったのですが、一部の接触センサや接続がうまくいかず、正確な点数カウントはできませんでした。完全動作版は次回への課題となります。でもこれ、担当者一人が直前の1週間ちょいで急ごしらえしたものなんです。配線の1本1本から力強さが感じられますね!(笑

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 システムの全景はこちらです。

 クレーンゲームのためにもう1つ準備したハードウェアは、前回のブログでも紹介しました、疑似操作卓(画面手前のジョイスティック)です。1個2万円の工業用ジョイスティックを2個用いまして、LED付きプッシュスイッチやキー付きスイッチなども用い、それっぽい雰囲気のある高級感のある仕上がりとなっております。製品として売っていそうな仕上がりです。

  画面に表示されているアプリケーションも、コース上での障害物のヒット位置を表示したり、プレイヤー登録やタイムランキング表示をしたりして、ゲーム性を持たせました。

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 クレーン模型の全景はこちらです。この模型自体は、去年のMaker Faire 2016で出展したものとほぼ同一のものを用いました。精密な模型は今年も多くの方に見ていただき、制作方法などの質問を大変多くいただきました。

 先端についているLED(航空障害灯)は、かなり遠くからでも確認でき会場内にて遠くからでもブースの位置がよくわかりました。

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 モータードライバ基盤やカメラなどの電装系は、過去のブログで紹介しました、Raspberry Pi Zeroを用いたものを使っています。運転席部分は模型として再現されていませんが、基盤は運転席のサイズ内に全て収まっています。

入場者の方々の反応

 全体的に、去年に引き続き多くの好評をいただきました。ありがとうございました。去年の展示のことを覚えていてくださった方も何人かおり、ゲームとして体験してもらえる方向への発展についても好評をいただきました。

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 今回は、クレーンゲームということもあり、お子さんのプレーヤーが大変多かったです。しかしながら、全体的に今回のクレーンゲームは、小学校入学以前のお子さんには操作が難しかった印象が感じられました。お子さんたちはやりたがってくれましたが、思ったよりも難しく、結局親御さんが操作しているといった感じが多かったです。 

 今回のクレーン模型の操作は実物と同じく、3つのレバーで直接3つのモーターを操作するものなのですが、これは極座標における操作となってしまい、直感的な操作ではありません。次回は、より簡易的な、直交座標による直感的な操作をアシストするモードを設けても良いのではないかと思いました。

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 こちらは、操作中にケーブルが外れてしまったのを修理している様子です。次回は回転リミッターなどをつけて、間違った操作でケーブルが外れてしまうことは起きないように改善していきたいと思います。

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 ところで、今回の来場者の方々の中に、数名ほど、実際にクレーン運転免許を持っている方がいらっしゃいました。世間は狭いものです。また、なんと、実際にクレーンの運転の仕事をなさっている方もいらっしゃいまして、本ゲームをやっていただきました。丁寧な感じで操縦されていまして、時間は7位くらいに入っていたと思います。

 さて、ランキングの方は最終的にどのようになったのかといいますと。。以下は2日目の閉会場する直前の画面のキャプチャですが・・

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 画面をよく見ると、JyuukiとかHeavyとかいう人で上位ランキングが独占されています。実はこれ、同一人物で、製作者(メカ担当者)本人です。よく見ると、製作者がプレーしているシーンがちらほら写真に写っています。

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 この写真なんて、自分でやってないでお客さんにやらせろよ!(笑)って思えますが、プレーの見本を見せているんです。(笑)繰り返し見本を見せていると、どんどん上手くなっていきます。(でも、この記事の執筆者本人は一度もランクインできない下手くそでしたが・・笑)

 実は出展者側としても、作ったクレーンゲームを使うことをできるのはこの場限りなんです。こんなものを組み立てて置いておけるほど広い部屋はありませんし、そもそも部品は各自で分けて保管しています。

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 さて、ゲームとしては、2日間で(ゴールまでやり遂げて)記録が残っているだけでも、110人を超える方々にプレーしていただき、大変多くの方々に見ていただきました。ありがとうございました。

今後の展開

 今後の展開について、まだはっきりと決まっておりませんが、記事の執筆者の勝手な想像では以下のようなものが挙げられます。

  • クレーン模型の変更、大型化、ブームブースター
  • コースの障害物センサーの改良(静電容量センサetc)
  • ロータリーエンコーダによるフィードバックをつけ、サーボ機能を持たせて操作性と安全性の向上
  • 子供向けのゲームコンテンツ(トレーラーへの積み荷、車庫入れ、工事現場シミュレーションetc)

今後の展開にご期待ください!